歯性病巣感染

口の中の細菌による感染が
全身の病気に悪影響を与える
歯性病巣感染

歯性病巣感染最近は、テレビや雑誌などで「歯周病と全身疾患」のことが取り上げられることが多くなってきました。
皆さんも、すでに知っておられるかもしません。 患者さんもこのことをよくご存じなので、診療時に説明するときにとても助かっています。
しかし、ここで注意していただきたいのは歯周病だけではなく、神経を取った歯の細菌感染も全身の病気と関係しているということです。 むしろ、神経を取った歯の細菌感染のほうが、悪性度が高く非常に危険なのです。

カナダの学会で知る

お口の感染、とくに神経を取った歯の細菌感染によって引き起こされる全身の感染「歯性病巣感染」は、様々な病気の引き金になり、多くの人々を危険にさらしています。
私が、このことを初めて知ったのは2013年にカナダのトロントで開催された国際オーソモレキュラー学会でのトーマス・レヴィー医師の講演でした。
この講演の中で、レヴィー医師は「乳がんや頭頚部がんの最大の原因は、リンパ系で直接つながっている口の中の感染根管(神経を取った歯の感染)である。また、これらは心臓病にも深くかかわっている」と述べられていました。
歯周病と全身疾患との関係は私が大学生の時から講義で聞いていたので知っていました。 しかし、神経を取った歯の感染根管が、全身の病気と深い関係があることは全く知らなかったのでこの時は非常に驚きました。
その講演あった夜の夕食時、レヴィー医師に直接このことについてさらに深くいろんなことを教わりました。 その時に聞いた抜歯法が、当院で現在行っている「ボーンキャビティー除去法・無菌化抜歯法」です。
レヴィー医師がこのことの研究を始められたきっかけはご自身の病気だったそうです。
先生は循環器専門医でしたが、ご自身が現不明の高血圧と不整脈になられました。 しかし、原因がわからず講演会で一緒になった歯科医師であるハル・ハギンズ先生に話したところ、口の中の感染が原因かもしれないと聞き、後日ハギンズ先生のクリニックで診てもらったそうです。
そうすると、レヴィー先生の口の中に神経を取った歯が1本あり、かつ昔抜歯した部位がボーンキャビティーになっていたことが分かりました。 すぐにハギンズ先生にボーンキャビティー除去法・無菌化抜歯法で治療してもらったところ、レヴィー先生の高血圧と不整脈がすっかり治ってしまったそうです。
その治療のおかげで、先生は健康になったばかりではなく、頭が冴えてより一層頭脳明晰になられ、その後弁護士の資格まで取られたと聞きました。

歯性病巣感染とは

歯を含めた口は、全身とのつながりを持った体の一部です。
この、当たり前な事実を私たちは忘れがちになっています。
口の中の細菌感染は全身疾患の原因となったり、悪化させてしまう要因となるのです。
神経を取った歯の多くは細菌感染をしています。 とくに、日本の保険診療で神経を取って、かぶせを入れた歯はほとんどが感染しているのです。 (精度が低い保険の根の治療方法と、錆びる金属を使った冠を入れることで年数がたつと隙間ができてしまい、その隙間から細菌が入ってくるため。これは、日本の保険診療の限界であって歯科医師の技術のせいではないことにご留意ください。
この細菌感染した歯から、細菌や細菌が出す毒素が血液やリンパの流れに流出し、その流れに乗って全身に回っています。 これは365日24時間、死ぬまで続くのです。

この歯性病巣感染に関係することが分かっている病気

ガン(乳がん、頭頚部のガン)、リウマチ、うつ病、痴呆症、心筋梗塞、脳梗塞、不整脈、糖尿病など

心筋梗塞の原因に

その細菌が、心臓の血管を詰まらせアテローム血栓を形成する要因となると心筋梗塞の原因になります。
事実、心筋梗塞を起こした患者の血栓を調べてみると、78.2%から神経を取った歯に感染した細菌のDNAが検出されることが分かっています(歯周病のDNAは34.7%)。
(Pessi T et al. Circulation. March 19, 2013 Vol 127, Issue11)

乳がんとの関係

Robert Jones(University of Glasgow)の報告

  • 300症例の乳ガン患者の5年間の追跡調査の結果、以下のことが判明した。
  • 乳ガン患者の93%は根管治療の歯が存在した。残り7%の患者にも口腔内に何らかの病変が存在した。
  • ほとんどの症例で、ガンが存在する乳房と同側に根管治療された歯や病変が認められた。

Josef Issels(Issels Integrative Immuno-Oncology Center)の報告

  • 40年間のガンの終末期の患者を調べたところ、97%が根管治療を経験していた。
  • 著書Immunotherapy in Progressive Metastatic Cancerの中で、ガン治療の前に根管治療歯などの口腔内のガンの原因として疑われる部分の撤去を基本的治療として挙げている。

うつ病との関係

根の先にできた膿の炎症部位から放出されるLPS(細菌の毒素)は酸化ストレスや窒化ストレスを上昇させ、うつ病を引き起こすという報告があります。
(Molecular Neurobiology April 2018,Vol55, Issue4, pp 2814-2827)
以上はほんの一部であり、これ以外に様々な報告が出てきています。

神経が無い歯の細菌毒性レベル検査

神経が無い歯は感染しています

神経が無い歯は感染していま先進国の人々の約30-50%の方のお口の中には神経を取った歯があります。
神経を取った歯のことを失活歯といい別名「死歯」といいます。 歯としては死んでいるので、全く免疫力がありません。 ですから、容易に感染してしまうのです。
レントゲン上で根の先に膿がなくても、細菌感染はしています。
膿があるか無いかは、細菌の量が多いか少ないかの量の違いだけで、いずれの歯も感染はしているのです。 特に保険で治療した歯は、ほぼ100%感染しています。

感染した細菌が悪玉菌であれば、さまざまな病気を悪化させます

悪玉菌は強い酸化物質を出します。その酸化物質や、悪玉菌自体が血液やリンパの流れに乗って全身に流れていきます。
そうすると、口から離れた臓器で様々な病気の原因になったり悪化させたりします。
これを「歯性病巣感染」といいます。

主な病気

ガン(乳ガン、頭頚部のガン)、リウマチ、うつ病、痴呆症、心筋梗塞、脳梗塞、不整脈、糖尿病など

細菌毒性レベル検査でわかること

細菌が出す毒素のレベルを調べることができます。
そのことによって、その歯の治療法(根管治療、抜歯、経過観察)を決める基準となります。
レントゲンで問題がなく、症状がない失活歯ほど調べることが重要です。
そのような失活歯は、これまでの歯科治療では全く問題にされず放置されてきているからです。

検査方法

歯周ポケットにペーパーポイントを入れるだけで検査できます。
全く、痛みや不快感はありません。

費用

1歯 8,800円

検査と治療

神経を取った歯の内部に感染している検査は細菌毒性検査で調べます。➡細菌毒性検査
細菌毒性検査の結果から出た診断に、患者さんの要望を加味して治療方針を決めていきます。
再根管治療や外科的治療(歯根端切除術)、抜歯(ボーンキャビティー除去法・無菌化抜歯法)の中からどの治療を、どの様に進めていくのかの治療計画をたてます。

日本病巣疾患研究会

根管治療と歯性病巣感染

むし歯が進行してしまって、むし歯菌が歯の神経の中まで進行したときは、細菌感染した神経を抜かざるを得ないことになってしまいます。
神経を抜く治療を抜髄とか根管治療といいますが、歯性病巣感染を引き起こさないためにはこのときの治療がとても重要なのです。

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