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2018.04.08

アートセンター歯科の開院の動機

「初心忘るべからず」
昔からよく父親から聞かされた言葉です。

今年の6月でアートセンター歯科は開院10周年になります。
10年前のスタート時点に心に抱いていた初心を忘れないように、といつも自分に言い聞かせて今まできました。
ではいったい、その初心の内容は?
その前に、アートセンター歯科を開院する前の話から聞いてください。

私は、歯科医院を新規開業する場所を約5年ほどかけて探していました。
自分の思っているような物件がなかなか見つからなかったからです。
その頃は千葉に住んでいましたので、関東一円でも探していました。
そして、週末には関西に帰ってきて物件を見回る、そんなことを続けていました。
実際に見に行った物件は100件は下らないと思います。
同期の知人は皆、どんどん開業していくのに自分はなかなか決まらない。
自分なりにできるだけ粘って探し続けていましたが、そのうち疲れてきて探すのが嫌になり開業を諦めようかと思ったこともありました。
開業できないのであれば、歯科医師の仕事自体も変えても構わないな、とも思うようにさえなっていました。
そんなある日の朝のことです。
ベッドで横になったまま物思いに更けて、ボーっとしているときにふと考えました。

今、歯科医師として仕事をさせてもらって何不自由ない生活をさせてもらってありがたいなあ、と。
近頃、開業できないなら仕事を変えようかなどと思っているけど、もしかしたらこれは自分の我がままではないのか?

自分は国立大学の歯学部を卒業しているので、税金で歯科医師にならせてもらった。
そういえば大学の担任の先生が「君たちには国から1年間に約700万円のお金が出ているんだ。そのおかげで大学で勉強できているんだぞ。それを忘れるなよ。」とおっしゃってた。
税金は国民の皆様が納めた貴重なお金。
その税金で歯科医師にならせてもらっているのに、開業できないなら仕事を変えようなどと考えることは、到底許される話ではないのではないか。
もし、自分が他にやりたい仕事があって変えるのであっても、今まで社会から受けた恩を返してからしないと人に道に反するのではないか?
そのようにふと思いました。

そして、こう考えました。
そうだ!これからは、歯科医師として社会に恩返しをしていこう。
そして、「大西正宏を歯科医師にしてよかった」と社会から言われるような歯科医師になろう。
歯科医院を開業しても、社会的財産となるような医院にしよう、と。

不思議なことに、そう心に決めてからすぐに今の物件、神戸芸術センターの話がきて、それから話がとんとん拍子に進んでいきました。
あれほどもがいて探しまくっていても縁がつかなかったのが、ウソのようにスムースに事が運んでいきました。
何か目に見えない力を感じます。

では、具体的にどのような歯科医院を目指しているのか?
医療の目指す究極のゴールは「治療が必要ない状態」のはずです。
つまり、治療が必要な患者数がどんどん減っていくことを目指すべきなのです。
病気の無い社会を作ることを目指すのが、本来私たち医療人の基本姿勢であるべきだと思っています。

でもそんなことになったら医院経営が成り立たないのでは?と考える人が多いのですが、私は必ず成り立つようになると信じています。
それは「世間は正しい」という基本的認識をもっているので、「正しいことをすれば世間は見捨てない。必ず必要とされる日が来る」と考えているからなのです。
しかし、正しいと信じたことをして万が一医院が成り立たない状態になったら?
その時は潔く閉院します。

では「治療がゼロの状態」にするにはどうしたらいいのか?
もし、歯科疾患を発症したら・・・
1、完全な検査をする
2、原因を除去する
3、最善の治療をする
4、再発しないように予防をする
この4つのステップが重要です。

では、今の日本の保険診療でこれは実現できているのか?と聞かれると、「全くできていない」と答えます。
できるわけがない。不可能です。
一例を挙げましょう。

当院では虫歯治療に「マイクロスコープを使ったドックスベスト法」を取り入れています。
髪の毛が大きく見えるほどよく見える視野で、抗菌作用のあるドックスベストを使う治療法です。
治療時間は1回1時間ほどかかります(保険診療でそこまで時間をかけられない)。
この治療法をしてから、神経をとることがほぼゼロになり、根の治療が激減しました。
アートセンター歯科の治療予約の中で根の治療が非常に少ないことに皆さん驚かれます。
つまり、当院のドックスベスト法は、再発しない「予防的治療」なのです。

保険診療の虫歯の治療は非常に再発が多く、再治療が多い。
再治療をするにしたがって、どんどん悪くなり、神経をとる、膿んだり割れたりする、抜歯する、ブリッジか義歯を入れる・・・・という「負の連鎖」に進んでいきます。

つまり、アートセンター歯科が皆さんにお勧めしている精密で最善の治療は「治療ゼロ」を目指している「予防的治療」なのです。

私が思い描いているアートセンター歯科の未来像は、来院患者さんのほとんどが衛生士による「メインテナンス」に来られ、治療の必要がなく、ほんの数人の患者さんのみがドクターによる「予防的治療」を受けるために来院される姿です。
つまり、私が治療する患者さんは少なければ少ないほどいい状態なのです。
そのような姿はアートセンター歯科の診療理念が実現した姿なのです。
アートセンター歯科にとっての真の成功はそれだと考えています。

院長  大西

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