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2023.05.15

当院が虫歯治療に使用しているドックスベストセメントについて

1.なぜドックスベストセメントを使うようになったのか?

2008年6月 私がここ 新神戸で歯科医院を開業してすぐに受講した セミナーでドッグスベストセメントのことを知りました。

半永久的に 抗菌作用が持続し、 感染した虫歯を除去せずに治療することができるという効果に期待して臨床に取り入れました。

それまでの診療では保険診療が中心で、 根管治療をたくさん行っていました。

保険の根管治療は手探りで行うため、非常に 精度が悪いだけでなく、非常に見にくい部分を無理に見るので腰をかがめ体にとっても非常に負担の大きい 治療です。

私はこの根管治療があまり好きではなかったため、 できるだけ 神経を取らずに残す治療を求めていました。

ドッグスベストセメントを使うと神経を保存する率が高まると聞いて早速取り入れました。

2.ドックスベストセメントとは何か?

今から約20年ほど前に、アメリカで開発されたむし歯治療用のセメントです。

新神戸 歯医者 ドックスベストセメント

 

ドックスベストセメントの中には活性化された 銅イオンが含まれており、 バイオフィルムを破壊し、この銅イオンの殺菌効果で虫歯菌を殺菌し、それと同時にセメント中に含まれるミネラル成分がむし歯で軟らかくなった軟化象牙質を最石灰化 させます。

この殺菌効果は半永久的に持続します。

 

通常の虫歯治療では感染した軟化象牙質は完全に取り除かなければなりません。

しかし ドッグスベストセメントを使うと軟化象牙質を残したまま治療することができるため、 歯の切削量を最小限にすることができ、 神経を残せる確率が格段に高まります。

余談ですが、先日 マスクに銅合金を蒸着させることによって新型 コロナウイルスを120秒で 99.99999999% 不活化させることができる マスクの広告を見ました。

これは 奈良県立医科大学と共同開発をしたマスクのようで、 きちんと エビデンスも取っているようです。

当院でも購入して使ってみたいと 思っています。

 

3.ドックスベストセメントの効果は?

まず一番大きい効果は、神経を取ることが格段に少なくなったことです。

開業当初の保険診療中心の頃から比べると 1/10以下になっていると思います。

当院がドッグスベストセメントを使った治療を始めてから5000例以上の症例がありますが、99%以上のケースで神経を残すことができています。

この神経を残せるということは 歯を残すことだけではなく体の健康を維持する上でも非常に重要なことなので、この治療方法は患者さんにとって大きなメリットとなっています。

次に大きな効果は虫歯の再発がなくなったことです。

半永久的に殺菌効果が持続するので、もし詰め物に隙間が空いたりして虫歯菌が侵入してきても殺菌してくれますので、再発することはありません。

当院でドッグスベストセメントを使って行った 虫歯治療で再発したケースは 2ケースのみです。

また、当院では根管治療にも使用しているので根の先に膿(根尖病巣)を作ることもなくなっています。

4.デメリット

このように 虫歯治療において 非常に効果的なドッグスベストセメントですが デメリットが1つあります。

それは 接着しにくいので脱離しやすいということです。

強力な接着剤でも脱離する場合は、 詰め物の形態を変えて脱離しにくくする必要があります。

5.まとめ

当院では開院以来 15年にわたってドッグスベストセメントを使用してきました。

おかげで神経を残す ケースが多くなり再発することもほとんどなくなりました。

 

ただ、ドッグスベストセメントの原法だけでは今の治療成績は達成できません。

その他にも マイクロスコープを使って精密に治療することや、オゾンガスで深部まで殺菌すること、治療で使う水は殺菌水を使うことや、抗生物質や抗真菌薬などの薬を使うなど様々な工夫を重ねて初めて治療成績は上がります。

あくまでも、ドッグスベストセメントは当院で行う虫歯治療で使用する材料の一つです。

そこで 当院で行う虫歯治療を「虫歯フリー治療」と名付けて患者さんに分かりやすい名前にしています。

http://artdc.jp/caries/

 

院長 大西

 

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