こんにちは。神戸市中央区「新神戸駅」より徒歩3分にある医療法人アートセンター歯科 新神戸アート歯科・矯正歯科です。
虫歯予防の目的で使われることの多いフッ素ですが、なぜフッ素が虫歯予防に効果的なのかを知らないままに使っている方もいるかもしれません。
今回は、虫歯予防にフッ素が効果的といわれている理由について詳しく解説します。また、フッ素塗布の流れや、どのくらいの頻度でフッ素を塗ればいいのかについても併せて解説するため、参考にしてみてください。
目 次
虫歯のメカニズム
フッ素を塗る理由を知る前に、まずは虫歯のメカニズムを理解しておきましょう。
虫歯は、歯垢の中に存在するミュータンス菌と呼ばれる虫歯菌が原因で起こります。ミュータンス菌が食事やお菓子などに含まれる糖を栄養として増えていき、プラークという集合体を作ります。そこから徐々に虫歯を発症させていくのです。
それでは、どのようなメカニズムで虫歯が進行するのかを、虫歯の進行度にあわせてご紹介します。
う蝕第1度(C1)
ミュータンス菌が集合して作ったプラークは、乳酸を作り出します。プラークの中が酸性になり、歯の表面のエナメル質が徐々に溶け出します。この状態が、う蝕第1度です。
う蝕第1度は、ミュータンス菌がエナメル質のミネラル成分を溶かしはじめた状態のため、痛みなどの症状はありません。歯の表面が白色や茶褐色に着色する程度です。
そのため、歯科医院でも発見が難しいことがあります。
う蝕第2度(C2)
虫歯が歯の内部にまで進行し、エナメル質よりも酸に弱い象牙質まで虫歯が進行した状態です。このタイミングになると痛みを感じる人もいますが、まだ痛みが分からないという人もいます。痛みの感じ方はその人によります。
ほとんどの人が、痛みよりも冷たい飲み物や食べ物がしみる症状を感じます。
う蝕第3度(C3)
歯髄まで虫歯が進行した状態です。歯髄は神経が通っているため、激しい痛みを伴います。
歯髄で虫歯が進行し続けると、歯髄が働かなくなって痛みがなくなります。治ったと勘違いする方もいますが、このときも着実に虫歯が進行しているのです。
う蝕第4度(C4)
虫歯がさらに進行し、エナメル質や象牙質を溶かし、歯の冠部分が完全になくなった状態です。歯根の先に膿が溜まることもあり、血管を通って菌が全身をめぐって影響を及ぼす可能性もあります。
歯根しか残っていないため、抜歯することが多いでしょう。
虫歯予防にフッ素が効果的な理由
虫歯の予防にフッ素が効果的という話は聞いたことがある方も多いかもしれません。これまでは、歯磨きのほうがフッ素を塗るよりも虫歯予防効果は高いといわれていました。
しかし、近年ではフッ素を活用したほうがいいと言われています。虫歯予防にフッ素が効果的と言われている理由は、次の通りです。
脱灰抑制作用がある
ミュータンス菌が作り出す酸によって、エナメル質からリンやカルシウムが失われることを脱灰といいます。脱灰させないようにすることで、酸に溶けにくい強い歯を作れます。
この脱灰を抑制する作用が、フッ素にはあるのです。
再石灰化促進作用がある
歯から溶け出したカルシウムやリンが再沈着することを、再石灰化といいます。再石灰化することでエナメル質を修復してくれます。
細菌の酸産生の抑制
フッ素は、プラークのなかに取り込まれると細菌の代謝系酵素を阻害します。つまり、潜んでいる細菌の働きを弱めるため、酸が発生しにくくなり虫歯のリスクを低下させます。
フッ素は安全なの?
お口のなかに使うものなので、フッ素の安全性が気になる方もいるかもしれません。
結論から言えば安全です。フッ素は化学的に合成されたものではなく、自然界に広く分布している元素だからです。
実際に、WHOをはじめとした世界150以上の保健関連団体でも安全性を認めています。
しかし、フッ素を安全に使用するにあたって注意しなければならないこともあります。
急性中毒
急性中毒とは、フッ素を一気に大量に摂取した場合に起こります。
見込み中毒量は体重1kgあたり、フッ素量約5~10mgとされています。そのため、フッ素の歯磨き粉を1本食べた、洗口液を1本一気に飲んだということがなければ、中毒を起こす可能性はありません。
歯科医院では、安全に配慮しながらフッ素を使用している問題ないといえるでしょう。
歯科医院でのフッ素塗布の流れ
自宅でフッ素入りの洗口液や研磨剤を使っている方もいることでしょう。
自宅用と歯科医院のフッ素では、フッ素の濃度が異なります。そのため、自宅でのケアに加えて定期的に歯科医院でフッ素を塗布することが推奨されます。
歯科医院でのフッ素塗布の流れは、次の通りです。
歯の清掃
フッ素をしっかりと歯に浸透させるために、まずは歯を清掃してきれいにします。歯ブラシだけでなく機械を使った清掃をおこないます。
フッ素塗布
フッ素を塗布する方法は、主に3つあります。
1つ目は綿球でつける方法です。液体タイプのフッ素を、小綿球や綿棒に浸して歯に塗布していきます。
2つ目は歯ブラシ法です。ジェルタイプのフッ素を、歯ブラシにつけて通常の歯磨きと同じように塗布します。
3つ目はトレー法です。歯並びに合わせて作られているトレーに、ジェルまたは液体タイプのフッ素をのせて、トレーごと歯に接触させて塗布します。
ふき取り
つけたフッ素をふき取ります。フッ素は十分に歯の内部に浸透しているため、ふき取っても効果が落ちることはありません。
どれくらいの頻度でフッ素塗布を受けるとよい?
家庭用のフッ素と歯科医院のフッ素では、濃度が異なります。家庭用フッ素は1,450ppmと低濃度です。歯科医院で使うフッ素は9,000ppmと高濃度です。
そのため、歯科医院でフッ素を塗布する頻度は、年間で3~4回程度でよいと考えられています。歯の質や唾液量などによっても適した頻度は異なるため、歯科医師と相談しましょう。
保険が適用されるため、比較的安い価格でフッ素の塗布ができます。
ふだんの歯磨きにもフッ素を取り入れよう
歯科医院でのフッ素塗布だけでなく、家庭での普段の歯磨きにも積極的にフッ素を取り入れていきましょう。
歯磨きのたびにフッ素を取り入れることで、口の中の歯や粘膜に残ったフッ素が少しずつ唾液にまざって効果を発揮し続けるとされています。虫歯予防のためには、長い時間フッ素を口の中にとどめていることが大切です。
フッ素を取り入れる方法には歯磨き粉と洗口液があります。それぞれの特徴は次の通りです。
歯磨き粉
歯磨き粉には、およそ500~1,500ppmのフッ素が含まれます。歯に直接塗布するため、歯に浸透しやすいといえるでしょう。
その一方で、歯磨きのあとにうがいしすぎると十分な効果が得られないことがあります。1日2回はフッ素が含まれた歯磨き粉で歯磨きをしましょう。そのうち1回は就寝前に行ってください。
歯みがきのあとは、歯磨剤を軽くはき出す程度にしましょう。うがいは少量の水で 1 回のみにとどめておくのが望ましいです。
洗口液
洗口液にはおよそ225~450ppmの濃度のフッ素が含まれています。洗口液は、歯磨きが終わってから使用します。
指定されている量をカップに入れてうがいをし、すみずみにフッ素を届かせます。とくに、就寝前におこなうとよいでしょう。就寝中は唾液の分泌量が減ることから、効果が高まります。
洗口液はそのあとにうがいをすることがないので、歯磨き粉よりも長く口腔内にフッ素を留められるでしょう。
まとめ
虫歯予防にフッ素が効果的であることは、WHOをはじめ世界で認められています。日本でも徐々にフッ素の効果が注目され、フッ素を虫歯予防に取り入れる方も増えてきました。
普段の歯磨きにフッ素を取り入れつつ、歯科医院で高濃度のフッ素を塗布していくことで、より虫歯予防ができるでしょう。これまでフッ素を使ったことがないという方も、ぜひ家庭や歯科医院でのフッ素ケアを取り入れてみてはいかがでしょうか。
フッ素塗布を検討されている方は、神戸市中央区「新神戸駅」より徒歩3分にある医療法人アートセンター歯科 新神戸アート歯科・矯正歯科にお気軽にご相談ください。