こんにちは。神戸市中央区「新神戸駅」より徒歩3分にある医療法人アートセンター歯科 新神戸アート歯科・矯正歯科です。
こどもの受け口発生頻度は、2%程度といわれています。受け口の治療をせずそのままにするご家庭も少なくありませんが、受け口をそのままにするとさまざまなリスクがあることをご存じでしょうか。
今回は、こどもの受け口をそのままにするリスクや、こどもの受け口の治療方法などを詳しく解説します。こどもが受け口で治療をしようか迷っている方は、ぜひ参考にしてください。
目 次
受け口とは?
受け口とは、下の歯が上の歯よりも前に出ている噛み合わせのことです。正式には下顎前突、あるいは反対咬合といわれます。3歳児の歯科検診では、下の前歯部分の連続した3歯以上の歯が、上の歯よりも前に出ている場合に受け口と診断します。
奥歯をしっかりと噛んでイーという口にしたときに下の歯が上の歯よりも前に出ている場合や、顎がしっかりと動いていない場合、舌足らずな発音になっている場合などは受け口の可能性が高いでしょう。
こどもの2%程度が受け口といわれていますが、大人になると受け口に悩んで受診する方の割合が増加する傾向にあります。
こどもが受け口になる原因
こどもが受け口になる原因は、主に3つです。
遺伝
受け口は遺伝しやすいといわれています。両親だけでなく親戚に受け口の方がいると、受け口が引き継がれる可能性があります。
ただし、受け口そのものが遺伝するわけではありません。受け口を誘発する顎の骨の大きさ・形、歯の大きさ・歯並びなどが遺伝することで受け口になると考えらえています。
受け口は、下顎の骨が大きい場合になりやすいです。そのため、下顎の骨が遺伝的に大きいこどもは、受け口になりやすいでしょう。
口周りの癖
爪を噛む癖や指をしゃぶる癖などがあると、受け口になりやすいです。前歯を前方に押し出す力がかかるため、長期間継続すると受け口を誘発するかもしれません。
舌で下の歯を押す癖や下の歯をなぞる癖がある場合も継続的に歯を前方に押し出す力がかかるため、受け口になりやすいといえるでしょう。
口呼吸
本来、口を閉じた際に舌の先が上顎の裏に触れる状態が、舌の正しい位置です。
口呼吸をしている場合、常に口が空いているので舌のポジションが定まらず、下の前歯の裏に舌を置くケースが多いです。下の前歯を押す力が継続的にかかるため、受け口になりやすいでしょう。
アレルギー性鼻炎があるこどもや、骨の形状的に鼻が詰まりやすいこどもは、受け口にリスクが高いと考えられています。
受け口をそのままにするリスク
受け口をそのままにするご家庭もありますが、そのままにするとさまざまなリスクを伴います。
受け口をそのままにするリスクは、以下のとおりです。
食べ物を適切に咀嚼できない
通常の歯並びの方は、奥歯で食べ物をすりつぶして細かくしてから飲みこみます。受け口の場合、奥歯がうまく噛み合わないため、うまくすり潰せません。くちゃくちゃと音を立てて食べ物を咀嚼するなどの問題を引き起こします。
食べ物を前歯で噛み切る動作も、うまくできない場合が多いです。適切に咀嚼できていない状態で飲み込むので、胃腸に負担をかける可能性があります。
発音が悪くなる
受け口の場合、口をしっかりと閉じることが難しく、舌の位置が不適切な場合が多いです。そのため、発音が悪くなる可能性があるでしょう。
特に、サ行やタ行の発音が不明瞭となる方が多いです。何度も聞き返される、聞き取りづらいといわれるなどの経験が積み重なることで、会話を避けるようになるかもしれません。
虫歯や顎関節症のリスクが高まる
受け口では下の歯が上の歯を覆うので、歯磨きの際に磨き残しを生じることが多いです。そのため、虫歯のリスクが高まるでしょう。
また、受け口は噛んだときに下顎に大きな力がかかりやすいため、顎関節症を引き起こすリスクも高まります。
こどもの受け口の矯正方法
こどもの受け口の矯正方法は、以下のとおりです。
マウスピース矯正
マウスピース矯正は、マウスピースを装着して歯並びを改善する方法です。1日20時間以上の装着時間を指示されることが多いでしょう。
柔らかい素材でできたマウスピースを使用するため、装着時の痛みがほとんどありません。取り外せるため、食事や歯磨きをふだんどおり行えることも特徴です。通院頻度が少ないので、お子さまの負担が少ない矯正方法といえるでしょう。
ただし、食事の際などはマウスピースを外し、食後はマウスピースのお手入れと歯磨きをしてから再装着する必要があります。学校に通っているお子さまの場合、管理が難しいかもしれません。
ムーシールドやマイオブレース
ムーシールドやマイオブレースでも、こどもの受け口を改善できます。どちらもマウスピースを装着する矯正方法ですが、マウスピース矯正とは異なり歯を直接動かすことはありません。上顎の成長を促す、口周りの筋肉を適切に発達させるなどして、正常な歯並びへと導く方法です。
柔らかい素材でできているため、お子さまでも違和感なく装着できます。ムーシールドの装着時間は就寝時のみ、マイオブレースの装着時間は就寝時と日中1時間程度なので、低年齢のこどもでも無理なく治療を続けられるでしょう。
上顎前方牽引装置(チンキャップ)
上顎前方牽引装置は、上顎を前方に成長させると同時に、下顎の成長を抑制する装置です。小学校低学年頃から使用できます。
自宅にいるときのみ使用するので、学校で装置を着脱するなどの手間はかかりません。装置を装着した状態で人前に出ることもないので、見た目を気にすることもないでしょう。
装着時間は1日10時間程度なので、就寝時のみの装着でも問題ありません。
ただし、下顎の成長を抑える効果の確信性がないなど、近年では使用しない歯科医院もあります。
こどもの受け口の矯正にかかる期間
こどもの受け口の矯正にかかる期間の目安は、以下のとおりです。
・マウスピース矯正:1〜1年半
・ムーシールドやマイオブレース:1〜1年半
・上顎前方牽引装置:6か月〜1年
マウスピースを使用する矯正治療では、1~1.5年程度の期間がかかるでしょう。受け口の状況や全体的な歯並び、お子さまの年齢によっても変動します。
上顎前方牽引装置などのフェイスマスクタイプの矯正は、6か月~1年程度の治療期間を要するでしょう。骨格に関わる矯正のため、顎の成長を確認して矯正を開始します。矯正したいと思ったタイミングで始められるとは限りません。
受け口は、成長とともに再発しやすいといわれています。矯正治療が終わっても、経過観察のために歯科医院を受診する必要があるでしょう。歯科医院に通う期間は、上記よりも長くなる可能性が高いです。
こどもの受け口の矯正にかかる費用
こどもの受け口矯正は、保険が適用されない自費診療です。歯科医院が自由に治療費用を設定できるため、医院によって治療費用が異なります。相場は、診察代・検査代・処置代・装置代などを含んで200,000~800,000円程度です。
決して安い治療ではないので、かかる費用をみて悩む方がいるかもしれません。
しかし、大人になってから受け口の治療をする場合は上記の倍程度の費用がかかるケースが多いです。こどものうちに治療したほうがよいといえるでしょう。
こどもが受け口ならないために気を付けること
こどもが受け口にならないためには、日々の生活で気を付けることがあります。こどもが受け口ならないために気を付けることは、以下のとおりです。
口周りの癖を改善する
指しゃぶりや爪を噛むなどの癖がある場合は改善しましょう。口周りの癖を改善できれば、受け口のリスクが大きく低下します。
受け口にならないためには、4歳頃までに改善できるのが理想です。
アレルギー性鼻炎などを治療する
口呼吸を誘発する原因がある場合は、治療しましょう。アレルギー性鼻炎やアデノイドがある場合、口呼吸になりやすいです。耳鼻科や小児科に相談して適切な治療を受けてください。
病気を改善することで口呼吸がなくなれば、受け口の予防につながるでしょう。
まとめ
こどもの受け口が自然治癒することは少ないです。受け口をそのままにすると、虫歯や顎関節症のリスクが高まる、発音が悪くなる、食べ物を適切に咀嚼できないなど、さまざまな影響を及ぼします。
受け口は、大人になってからの治療は難しい場合が多く、治療できても高額な費用がかかるケースがあります。そのため、こどものうちに治療するのが望ましいでしょう。
こどもの受け口を矯正する方法はいくつかあるため、歯科医師と相談して適切な治療法を選択してください。受け口を早期に改善し、口内の健康を保ちましょう。
小児矯正を検討されている方は、神戸市中央区「新神戸駅」より徒歩3分にある医療法人アートセンター歯科 新神戸アート歯科・矯正歯科にお気軽にご相談ください。